解散から約2年後の1980年、スーちゃんは女優として芸能界に復帰します。「元アイドル」という色眼鏡で見られることも少なくない中、田中さんは地道に演技力を磨き、本格派女優としての道を切り拓いていきました。
その才能が世界的な評価を受けたのが、1989年公開の今村昌平監督作品映画『黒い雨』です。広島への原爆投下による放射性降下物「黒い雨」を浴び、白血病を発症していく過酷な運命に翻弄されるヒロイン・高丸矢須子役を全身全霊で熱演。鬼気迫る演技が高く評価され、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞やブルーリボン賞主演女優賞など、国内の映画賞を総なめにしました。
さらに2001年に放送されたNHK連続テレビ小説『ちゅらさん』では、ヒロイン・えりぃの母親である古波蔵勝子役を好演。明るく温かく、時に家族を力強く包み込む母親像は日本中の共感を呼び、「理想の母親」としての地位を確立しました。コメディからシリアスな人間ドラマまで演じ分ける名バイプレイヤーとして、日本の映像界に欠かせない存在となったのです。