キャンプ場やバーベキュー場で最も頻発するトラブルが、じゃがバターの生焼けと表面の炭化です。炭火の遠赤外線は非常に強力ですが、ジャガイモは水分量約80%と密度が極めて高く、中心部まで熱が伝導するのに物理的な時間を要します。
ジャガイモに含まれるデンプンがふっくらと柔らかく糊化(α化)するには、中心温度が75℃〜80℃以上の状態で一定時間維持されることが科学的な必須条件です。しかし、生のジャガイモをアルミホイル1枚で包んで真っ赤に燃える炭の中に直接放り込んでしまうと、内部温度が上がる前に外皮付近が200℃を超えて一気に炭化します。結果として「外は焦げ、中は生のまま」という最悪の状態が生み出されてしまうのです。
野外料理研究家やBBQインストラクターの検証データによると、生の状態から炭火の直熱だけで均一に火を通すには、弱火エリアで最低でも40〜50分間の精密な温度管理が求められます。宴会が盛り上がっている最中にこれだけの時間をコントロールし続けるのは至難の業。だからこそ、物理現象に基づいた確実なアプローチが必要不可欠となります。