坂東龍汰さんの生い立ちを語る上で欠かせないのが、小・中・高校まで12年間受け続けた「シュタイナー教育」です。北海道伊達市・ニセコエリアには、日本でも数少ない全日制シュタイナー学校「北海道シュタイナー学園(いずみの学校)」が存在し、父親と母親はこの教育方針に深く共鳴して子どもたちを通わせました。
オーストリアの哲学者ルドルフ・シュタイナーが提唱したこのオルタナティブ教育は、知育偏重を避け、頭・心・身体の調和を重視します。その徹底ぶりは驚くべきもので、家庭内においても「テレビ、パソコン、家庭用ゲーム、スマートフォンの原則禁止」が厳格に守られていました。
既成の映像や電子音で刺激を受けない代わりに、子どもたちが没頭したのは、絵を描くこと、木工細工を削ること、演劇をすること、そして雪山を駆け巡ることでした。坂東さん自身、高校の卒業公演で自ら主役を務め、脚本や舞台演出に関わった経験が、役者を志す直接の契機になったと明かしています。台本を読んだ瞬間に登場人物の情景を立体的に描き出せる独自の演技力は、デジタルデトックスされた環境で育まれた圧倒的な想像力の賜物なのです。