本作の魅力を飛躍させた要因の一つが、ドラマ版からのオリジナルキャストと新キャストが織りなす重厚なアンサンブルです。パリという閉鎖的な厨房空間の中で、異なるバックグラウンドを持つ料理人たちがプライドを激しくぶつけ合います。
特に注目を集めたのが、韓国のトップアイドルグループ2PMのメンバーであり俳優としても高い評価を受けるオク・テギョンが演じたパティシエのリック・ユアンです。尾花の傲慢とも取れる完璧主義に真っ向から反発し、デザートを「料理の締めくくり」ではなく「独立したひとつの芸術」として主張するリックの存在は、厨房内に強烈な緊張感をもたらしました。制作関係者の証言によると、テギョンは撮影前の数カ月間にわたりフランス語と製菓技術の猛特訓を重ね、劇中の流暢な多言語セリフと職人技を完璧に体現しています。
一方、Aぇ! groupの正門良規が演じた若きコミ(見習い料理人)の小暮久人は、観客の感情移入を一身に担うキャラクターとして機能しました。世界最高峰の厨房で圧倒的な力量差に打ちのめされながらも、泥臭く食材の仕込みに向き合い続ける久人の姿は、尾花や倫子の背中を追う次世代の象徴として描かれています。先輩料理人である芹田一徹(寛一郎)との微笑ましい師弟関係も、緊迫したストーリーの中で絶妙な温かみを与えました。