愛猫の口腔トラブルに直面した飼い主たちの手記や、知恵袋・SNS上での相談投稿を検証すると、共通して浮かび上がるのは「もっと早く連れて行けばよかった」という強い自責の念です。
都内在住の50代女性の手記には、次のような生々しい記録が残されています。
「カリカリの食いつきが悪くなった時、単なるシニア期のわがままや味の飽きだと思い込み、ウェットフードへ切り替えて安心していました。しかしある日、毛づくろいをした前足が茶色く汚れ、生臭い臭いがすることに気づいて受診したところ、奥歯を支える骨が溶けて歯が浮いている状態でした。『この子は半年以上、毎食針で刺されるような激痛に耐えていたはずですよ』と獣医さんに告げられたときのショックは忘れられません」
また、猫の難治性口内炎と闘い、最終的に全臼歯抜歯手術を選択した飼い主たちのコミュニティでは、手術に対する初期の葛藤と術後のギャップが頻繁に語られます。「歯を全部抜いてしまったらご飯が食べられなくなるのではないか」という恐怖から内科治療を何年も引き延ばし、ステロイドの長期投与で糖尿病を併発してしまう事例は少なくありません。しかし、専門医の執刀で抜歯を終えた猫の多くは、術後数日で目つきが穏やかになり、痛みのない口腔でドライフードを器用に丸飲みして体重を取り戻していきます。現場の動物看護師が「抜歯後に猫の性格が明るくなったと言われることが多い」と証言するように、慢性的な痛みから解放されることの価値は計り知れません。