かつての対戦現場において、メガストーンの導入はプレイヤーに何をもたらしたのか。当時の公式大会(ポケモンWCS)レポートやトッププレイヤーの手記、5ちゃんねる(現5channel)等のコミュニティログを検証すると、熱狂と同時に生々しい葛藤が浮き彫りになります。
第6世代の対戦環境で頂点に君臨した「最強メガシンカ」の筆頭がメガガルーラでした。自著やインタビューで当時の対戦シーンを振り返る元世界王者たちの告白によると、「パーティーを組む際、まずメガガルーラを使うか、それをどう対策するかから思考をスタートせざるを得なかった」と語られています。特性「おやこあい」による2回攻撃は、追加効果の発生確率倍増、きあいのタスキの無力化、みがわりの破壊と本体への追撃を単独でこなし、当時の公式大会使用率は70%超を記録しました。
SNSや対戦オフ会の現場では、以下のようなリアルなプレイヤーの声が渦巻いていました。
「リザードンが黒い体躯のXにメガシンカした瞬間の鳥肌は忘れられない。だがレート対戦に潜ればガルーラ、ボーマンダ、ゲンガーの3強ばかり。選べるメガシンカは40種以上あるのに、勝つための選択肢が極端に狭まっていた」(元レーティング上位プレイヤーのブログ手記より)
さらに「メガボーマンダ」の圧倒的数値と特性「スカイスキン」による超火力、「メガゲンガー」の特性「かげふみ」による強制的な盤面ロック、そしてメガストーンを持たずに技「ガリョウテンセイ」だけで進化し「いのちのたま」や「こだわりハチマキ」を持てる「メガレックウザ」の登場は、対戦のインフレを決定的なものにしました。「好きなポケモンと絆で勝つ」という少年漫画的な理想と、「種族値と壊れ特性による支配」というシビアな対戦現実とのギャップが、当時のコミュニティに深い影を落としていたことは紛れもない事実です。