館内に足を踏み入れた者がまず目を見張るのは、空間全体の圧倒的な調和だろう。手掛けたのは、世界のハイエンドリゾートを次々と刷新してきた巨匠ジャン=ミシェル・ギャシー。彼がここで具現化したのは、日本の伝統とコンテンポラリーの鮮やかな対話だ。
エントランスの浅い水盤には柔らかな灯火が揺れ、光と影の陰影が織りなす空間は、まるで都会の空中庭園を散策しているかのような錯覚を抱かせる。障子や和紙、生花のエッセンスを大胆に抽象化しつつ、決してこれ見よがしな装飾に陥らない。凛とした静けさと温かさが同居するそのデザインコードは、訪れる者の心を瞬時に解きほぐす。