盛岡の街歩きは、盛岡駅から北上川を渡り、中心街の大通へと続くルートが基本となる。このわずか数キロメートルの範囲に、東北屈指の豊かなご当地グルメが集積している。
昼時の飲食業を支える店主たちの動きには一切の無駄がない。盛岡冷麺の麺を押し出す油圧式製麺機の鈍い音、肉を直火で炙る煙、熱々の南部鉄器で提供される定食のジュージューという音。街全体が一つの巨大な厨房であるかのような錯覚に陥る。大手チェーン店が席巻する地方都市が多い中、盛岡では個人経営の頑固な店や地元資本の専門店が圧倒的な存在感を放ち続けている。