この街の独特な個性を形作っている最大の要素は、間違いなく京都大学の存在だろう。明治期に創立されて以来、自由の学風を掲げるこのキャンパスは、数々の奇人・変人・天才たちを世に送り出してきた。赤レンガの時計台記念館を中心に広がるキャンパスの空気は、知的探求心とどこか浮世離れした大らかさに満ちている。
大学の敷地と街の境界線は驚くほどあやふやだ。学生たちが議論を交わす喫茶店、かつてのアジテーションの残り香を感じさせる古本屋、安くてボリューム満点の定食屋。街全体がまるでキャンパスの延長線上に存在しているかのように、知的な刺激とノスタルジーが濃密に溶け合っている。