2003年、菊池桃子は自らの経験を赤裸々に綴った著書『午後には陽のあたる場所』を発表した。この一冊は、著名人による単なる闘病記・育児手記を超え、同じ境遇にある全国の親たちから圧倒的な共感と支持を集めることとなる。
本の中では、障害を持つ子どもを育てることへの不安、周囲の無理解に対する孤独、そして何より「なぜこの子が」というやり場のない自責の念が率直に明かされていた。だが、行間から浮かび上がるのは、障害を特別視するのではなく、娘のありのままの個性を受け入れようとする温かな眼差しだった。
手記の反響は凄まじかった。読者から届いた無数の手紙は、菊池自身の支えにもなったという。プライベートを公表することへの迷いを乗り越え、彼女は「自らの経験を社会に還元する」という新たな使命を見出していった。