一方で、寿命そのものに差はなくとも、神経科学(Neuroscience)の観点から左利きの脳機能や体質に固有の特徴が存在することは事実である。人間の約90%が右利きであり、左脳に言語中枢を持つのに対し、左利きの約30%は右脳または両側の脳に言語機能を分散させている。この脳の側性化(非対称性)の違いは、高い空間認識能力や創造的な思考パターンと関連しているとされる。
かつて懸念された「左利きは自己免疫疾患やアレルギーを発症しやすい」というゲシュヴィント・ビーハン・ガラブルダ(GBG)仮説についても、近年の疫学的再検証によって、臨床上警戒すべきレベルの相関はないことが判明している。脳の構造的差異は病的な異常ではなく、人類の進化が生み出した多様なバリエーションの一つに過ぎない。