インターネット上の掲示板や一部のスピリチュアル系ブログ、動画コンテンツにおいて、「いやさかは古代ヘブライ語に由来する」という言説がまことしやかに語られることがあります。いわゆる「日ユ同祖論」に結びつけられる言説です。
具体的には、「ヘブライ語の『イザヤ・エコール(神を信じる者は救われる、栄える)』や『ヒエサカ』が訛ったものである」といった主張が散見されます。また、スピリチュアルな界隈では「いやさかという母音の連なりが特殊な高周波の波動を生み出し、金運や開運を直接引き寄せる言霊である」といった独自の解釈が展開されることも珍しくありません。
国語学・比較言語学から見た客観的事実
しかし、学術的な歴史言語学および国語学のファクトチェックを行うと、ヘブライ語起源説を裏付ける一次史料や形態素の変遷証拠は一切存在しません。前述の通り、「弥(いや:増進を示す副詞的接頭辞)」+「栄(さか:栄えるの名詞形)」という日本語内部の明確な造語ルールによって、上代日本語の時代に完璧に説明がつきます。
言葉にポジティブな祈りを込めて発声する「言霊」としての心理的効果は認知心理学的にも肯認できますが、奇をてらったオカルト的起源論に惑わされることなく、「日本の言語文化が培ってきた、純粋な相互祝福の言葉」として受け止める姿勢が肝要です。