「最初は『何やってんだか分からん若者が来た』と思ったよ」。六合地区の古民家で出会った高齢の住民は、笑いながらそう語ってくれた。「でもね、彼らがうちの物置からボロボロの農具を引っ張り出して、埃を払って光を当てたとき、涙が出そうになった。捨てようとしていた俺たちの生きてきた時間が、宝物に見えたんだ」。
鑑賞者にとっても、中之条を巡る旅は容易ではない。広大な山間部に点在する会場を巡るには車が必須であり、細い山道を抜け、時に霧に包まれながら作品を探し歩くことになる。だが、この「不便さ」こそが鑑賞者の身体感覚を開放する。自ら足を運び、迷い、地元の人に行き先を尋ねる。そのプロセスすべてが作品鑑賞の一部として組み込まれている。