インターネット上の雑学解説やSNSの投稿において、しばしば事実と異なる解釈が拡散されているケースが見受けられます。その代表例が「烏(カラス)」と「鳥(トリ)」の書き分け、そして「鵺」の定義にまつわる誤解です。
ネット上でよく見られる俗説に、「カラスは全身が黒いから目を隠すために意図的に横棒を抜いたという作り話」があります。これは後世の初学者向け解説としては親しみやすいものの、文字学の厳密な歴史を辿るとやや異なる側面が見えてきます。甲骨文字や金文の時代、鳥の象形文字には瞳を明瞭に描き込むタイプと、全体を塗りつぶすタイプが存在していました。カラスを描く際、黒い羽毛に瞳が完全に同化して視認できない実態をそのまま象形化した結果、瞳の輪郭線が脱落した形で定着したのが実情です。人為的な引き算ではなく、「見たままを描写した結果としての欠如」が文字学的な真実です。
また、慣用句として使われる「鵜呑み(うのみ)」や「鴨(かも)にする」という表現についても、鳥の知能が低いから騙されやすいという意味だと誤解されがちです。しかし実際は、ウが魚の骨をものともせず頭から一気に丸呑みする消化機能の高さに由来する生態描写であり、カモは冬になると無警戒に群れをなして飛来するため猟師にとって捕獲しやすかったという狩猟側の利便性から生まれた言葉です。鳥たちの習性を正確に捉えず人間の都合でレッテルを貼った俗説に惑わされない姿勢が求められます。