巨大な展示会であるからこそ、参加企業には「莫大な工数と出張旅費を投じて、何を持ち帰るのか」という投資対効果(ROI)の視線がシビアに求められます。日本企業の現場取材を続ける中で頻繁に目にするのが、「慣例として部下数名を連れて歩き回ったが、結局パンフレットの山を抱えて帰社しただけ」という形骸化した視察の罠です。
この無毛な視察病に陥らないために、編集部では独自の参加判断基準を策定しました。
高機能素材Weekへ参加すべき人・企業
- 具体的な物性・加工課題を抱えている開発・設計者:「耐熱温度250℃以上を維持しつつ、曲げ弾性率を両立させたい」といった明確な仕様要件を持っている場合、現場で複数のサプライヤーと即座に技術的相性を突き合わせることができます。
- 代替材料のデュアルソーシングを迫られている購買・調達担当者:特定国への依存度低減やBCP(事業継続計画)の観点から、サプライヤーの開拓・比較検討を一堂に進める絶好の機会となります。
- オープンイノベーションを模索する技術企画部門:大学発ベンチャーや異分野メーカーの展示から、自社の休眠特許と組み合わせ可能な外部シーズを探索する場として高い実効性を誇ります。
参加を見送る、あるいは慎重になるべき人・企業
- 自社の課題定義が曖昧なままの担当者:「何となく新しい技術動向を眺めたい」という受動的な態度では、数千社が発信する情報量の濁流に押し流され、ただ歩き疲れる結果に終わります。
- 初心者向けの体系的な基礎知識を求めている人:本展の展示内容は高度に専門化・ニッチ化されています。材料工学の基礎や業界構造を一から体系的に学びたい段階であれば、市販の専門書や初心者向けオンライン講座を利用する方が時間効率の面で遥かに賢明です。
成果を持ち帰るための鉄則は、「自社の歩留まり低下要因」「コスト削減のボトルネック」といった問いを1枚のペーパーに言語化し、ブースの説明員にいきなりぶつけることです。問いが具体的であればあるほど、相手のエンジニアも奥底に秘めた真の技術提案を提示してくれます。