どじょう鍋に対して苦手意識を持つ人の多くは、初体験の段階で強い違和感を抱いています。そのネガティブな評判を生み出している具体的な要因を分解すると、明確な4つの理由が浮かび上がってきました。
第1の理由は、泥臭さと独特の川魚特有の生臭さです。どじょうは泥の中に潜って生息する淡水魚であるため、体表のぬめりや消化管の中に泥や砂を取り込んでいます。数日かけて綺麗な水で泥を吐かせ、塩や酒を使ってぬめりを完璧に取り除く下処理を怠ったどじょうは、どうしても口に入れた瞬間に強い泥臭さが鼻腔を抜けてしまいます。
第2の理由は、内臓(ワタ)に起因する強い苦味です。どじょうを丸ごと煮込むスタイルの場合、内臓に含まれる胆汁や消化液の成分がそのまま残ります。これが大人向けのほろ苦さとして愛される一方、苦味に敏感な人や慣れていない人にとっては「薬のような苦さでまずい」と敬遠される引き金になります。
第3の理由は、小骨の口当たりと喉ごしの悪さです。加熱時間が足りない場合や、サイズの大きな親骨の硬いどじょうを使用している場合、噛んだときに小骨がチクチクと歯茎や舌に当たります。骨が柔らかくなるまでじっくり煮込まれていないどじょうは、食べるたびに骨が気になり、料理としての満足度を大きく下げてしまいます。
第4の理由は、丸ごと鍋に並ぶビジュアルへの心理的抵抗です。浅い平鍋に数十匹の小さな魚が頭付きでぎっしりと並べられた姿は、人によって「グロテスク」に映ります。視覚的な嫌悪感が先立つことで、味覚のハードルが無意識に引き上げられてしまうケースも少なくありません。