端的な結論から述べます。医学的・遺伝学的に、知的障害そのものに特有の顔つきや骨格的特徴は存在しません。小児神経科や臨床遺伝専門医の共通見解として、純粋な知的障害(知的能力障害/知的発達症)を持つ人の顔立ちや造作は、定型発達(健常者)の人々と何ら変わりありません。
世界保健機関(WHO)の「ICD-11」や米国精神医学会の「DSM-5-TR」における知的障害の最新診断基準を確認すれば、その事実は明白です。診断において評価されるのは以下の3要素のみであり、容貌や外見的指標は1ミリも含まれていません。
第一に、標準化された知能検査(WISCやWAISなど)において「IQがおおむね70以下」であること。第二に、概念的・社会的・実用的な適応機能に有意な制約があり、日常生活において支援を必要とすること。第三に、これらの状態が発達期(おおむね18歳〜22歳以前)に発症していることです。つまり、知的障害とは知能指数と社会生活への適応能力によって定義される機能的な診断名であり、外見的な形状を指す言葉ではありません。
厚生労働省の生活のしづらさなどに関する調査や関連学会の統計データによると、知的障害と診断される人の約85%は「軽度知的障害」に分類されます。軽度知的障害を抱える方々の外見は周囲と完全に同一であり、通勤電車で隣に座っている人や街ですれ違う人と見た目だけで区別することは不可能です。