ネット上の情報やSNSの写真だけを見ていると、「ペット可であればどんな動物でも歓迎される」と錯覚しがちです。しかしそこには、業界関係者の間では常識とされながら一般にはあまり知られていない重大な盲点が存在します。
第一の誤解は、「ペット可=猫も宿泊可能」という思い込みです。日本国内のペット同伴宿のうち、実に85%以上が「犬専用(特に小型犬中心)」であり、猫の受入を明確に認めている宿は全体の1割未満に過ぎません。さらに重要なのは動物行動学的な観点です。犬が「人につく(飼い主と一緒なら安心する)」傾向が強いのに対し、猫は「場所につく(自分のテリトリーに依存する)」習性を持ちます。見知らぬ空間への移動は猫にとって過度な恐怖となり、数日間にわたる排尿ストップや、わずかな隙間からのパニック脱走といった命に関わる事故を招く危険性があります。「猫と泊まれる宿」を選ぶ際は、完全二重扉やキャットウォークの有無だけでなく、愛猫自身のストレス耐性を冷徹に見極める必要があります。
第二の盲点は、大型犬を連れた旅行における選択肢の極端な狭さです。多くのホテルが「体重10kg未満・体高40cm以下」といった小型犬基準を設けており、ゴールデンレトリーバーやバーニーズなどの大型犬を受け入れる施設は限られます。独立した敷地を持つ大型犬宿泊可能コテージや一棟貸しヴィラが主な受け皿となりますが、これらの人気施設は数ヶ月前から予約が埋まるのが通例です。「直前でもペット可の宿は見つかるだろう」という安易な見通しは、大型犬オーナーにとって命取りとなります。