多くの人が抱く「ピカソ 正式名称 長い理由は何か?」という疑問。その真相は、当時のスペイン社会に根付いていたカトリック教会の洗礼名(クリスチャンネーム)付与の習慣と、地縁・血縁を重んじる一族の強い願いにあります。
当時のアンダルシア地方では、誕生した子供に守護聖人や代父母、親族の名前を次々と重ねて授けることで、悪霊から身を守り、一族の絆を強固にする信仰文化が存在しました。それぞれのピカソ 名前の意味を分解すると、驚くべき緻密な意図が浮かび上がります。
具体的には、以下のような構成で名前が連ねられています。
- パブロ(Pablo):新約聖書の使徒聖パウロに由来。
- ディエゴ(Diego):洗礼の代父を務めた叔父の名、およびスペインの守護聖人聖ディダカス。
- ホセ(José):実父である画家ホセ・ルイス・イ・ブラスコの名、および聖ヨセフ。
- フランシスコ・デ・パウラ(Francisco de Paula):カラブリアの聖フランチェスコ(アンダルシア地方で篤く信仰される守護聖人)。
- ホアン・ネポムセーノ(Juan Nepomuceno):ボヘミアの聖人聖ヨハネ・ネポムク(大叔父の名に由来)。
- マリーア・デ・ロス・レメディオス(María de los Remedios):ピカソの生まれたマラガの守護聖母「治癒の聖母マリア」への奉献。
- クリスピアーノ(Crispiniano):ピカソの誕生した10月25日の聖人(聖クリスピンおよび聖クリスピニアヌス)。
- デ・ラ・サンティシマ・トリニダード(de la Santísima Trinidad):「至聖三位一体(三位一体の神)」に身を捧げる祈りの句。
- ルイス・イ・ピカソ(Ruiz y Picasso):父方の第一姓「ルイス(Ruiz)」+「〜と(y)」+母方の第一姓「ピカソ(Picasso)」。
このように、誕生時の奇跡的な生存(仮死状態で生まれたピカソを医師の叔父が煙草の煙で蘇生させたという有名な逸話があります)を神に感謝し、あらゆる聖人と親族の加護を一心に祈願した結果、これほど贅沢で長大な名前が完成したのです。