ファンが最も息をのむポイントは、五十音順というリアリスティックな制度を利用して生み出された「座席表のレイアウト」です。1年A組の教室は、教卓に向かって左側の窓際から右側の廊下側へと、縦5席×横4列の計20席で構成されています。
この規則に従って番号を割り振ると、廊下側の列(4列目)は以下の並びになります。
- 1列目(窓側):1番・青山 〜 5番・麗日
- 2列目:6番・尾白 〜 10番・砂藤
- 3列目:11番・障子 〜 15番・轟
- 4列目(廊下側):16番・葉隠 → 17番・爆豪 → 18番・緑谷 → 19番・峰田 → 20番・八百万
この配置がもたらす最大のドラマは、「爆豪勝己の真後ろに緑谷出久が座る」という幾何学的必然です。幼少期から「無個性」と見下されながらも、圧倒的な才能を持つ「かっちゃん」の背中を追いかけ続けてきたデク。教室という日常の空間において、デクの視界には授業中もホームルーム中も、常に爆豪のツンツンとした後頭部と広い背骨が映り込んでいます。
堀越耕平氏はキャラクターの名前を決める際、それぞれの“個性”や性格を連想させる漢字(例:緑谷=草木のように成長する、爆豪=爆発)を当てはめています。しかし、爆豪(ば)と緑谷(み)が五十音順で隣り合い、しかも4列×5行のグリッドで縦の前後に並ぶよう計算されていたとすれば、それは極めて高度なネーミング設計の結晶と言えます。
また、窓際最後列(5番)にヒロインの麗日お茶子が座り、斜め向かいのラインで緑谷の様子を自然に観察できるポジションにある点、そして教室の対角線上、後方の静寂を守る位置に轟焦凍(15番)が控えている点など、群像劇としてのカメラアングルが完璧に計算され尽くしています。