今回、現地の案内人や映像関係者への取材から、知られざる撮影秘話とツウ好みの未公開アングルが浮かび上がってきた。多くの観光客は改札正面からの構図に目を奪われがちだが、映画スタッフが最もこだわったのは「駅舎の外から高野川越しにプラットホームを捉えるサイドビュー」だという。
駅裏手にある小さな吊り橋「もみじ橋」を渡り、対岸の小径から木々の隙間越しに木造トラスを望む位置がある。夕刻、駅のレトロな照明が灯り始めると、川面に反射する光と駅舎の温かな明かりが溶け合い、息をのむほど幻想的な光景が出現する。スクリーンの隅に映り込んでいたあの情緒は、この計算し尽くされた視点から生まれていたのだ。