物語の根幹をなすのは、専制政治を掲げる銀河帝国と、民主主義の理念を擁する自由惑星同盟という、対立する二大国家の存亡をかけた戦いだ。ラインハルト・フォン・ローエングラムとヤン・ウェンリーという歴史的英雄たちの智謀戦は、藤崎氏の手によって驚くほどクリアかつダイナミックに可視化されている。
艦隊戦の戦術展開や陣形描写においては、コマ割りの美しさと情報の密度が両立しており、漫画というメディアの可能性を極限まで押し広げた。巨視的な政治劇と微視的な個人のドラマが流麗に交差する構造は、まさに王道SFの神髄と言える。