しかし、こうした「ビジュアル重視」のトレンドに冷や水を浴びせる専門家も少なくない。数学教育の第一人者である東京大学の名誉教授は、論理的思考力の低下を危惧する。「画面を見て『そうなっているから』と納得するだけでは、数学が本来育むべき『なぜそうなるのか』を突き詰める論理的推論力が育たない」と指摘する。
確かに、動的なシミュレーションは強力なツールだ。しかし、それは「推測」を助けるものであって、「証明」の代わりにはならない。デジタルネイティブ世代が、美しいグラフィックの裏側にある「論理の積み重ね」を退屈なものとして切り捨ててしまうリスクは、決して無視できない課題である。