境内の一角に、一際異彩を放つ石が存在する。「阿ホバカ石(あほばかいし)」と呼ばれる重軽石(おかるいし)だ。病気平癒や願掛けの神石として親しまれ、まず掌で軽やかに叩いて持ち上げ、次に願いを込めながら三度撫でて持ち上げた際、軽く感じられれば願いが叶うと伝わる。そのユニークな名称とは裏腹に、人々の切実な祈りを受け止めてきた深遠な歴史がある。
また、全国の神社を包括する神社本庁の傘下にありながら、今宮神社は紫野の地で古来の神仏習合や庶民信仰の残り香を現在に伝える貴重なパワースポットだ。伝統行事である「やすらい祭」は、春の桜の散る時期に悪疫を鎮める奇祭として知られ、国の重要無形民俗文化財にも指定されている。単なる縁結びの場所にとどまらず、生命の無事と健康を願う祈りの原点がここには息づいている。