赤ひげの舞台・小石川療養所の真実|幕府が隠した庶民救済の裏側

赤ひげの舞台・小石川療養所の真実|幕府が隠した庶民救済の裏側

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江戸幕府の財政再建を掲げた「享保の改革」。その冷徹な政策の陰で、もっとも人道的な光を放っていたのが小石川の施療事業だった。当時、大都市へと急成長を遂げていた江戸の街には地方から流れてきた貧困層が溢れ、満足な治療を受けられずに路上で息絶える者が後を絶たなかった。そこに一石を投じたのが、小石川町で開業していた草の根の医師・小川笙船である。

笙船の投書を目にした徳川吉宗は、即座に行政を動かした。幕府の薬用植物園であった小石川薬園の敷地内に、40床規模の施療施設を突貫工事で建設させたのだ。入所費も薬代もすべて無料。自ら食事を用意できない者には給食まで支給された。権力者が庶民の「生きる権利」に直接救いの手を差し伸べた歴史的転換点であり、江戸幕府が果たした公衆衛生の革新的アプローチであった。

橋本 菜々子
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橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。