しかし、この曲を演奏することは決して容易ではない。むしろ、技術的にも精神的にも極めて難易度が高いと指導者たちは口を揃える。最大の壁は、作品の根底に流れる「和」のニュアンスを、西洋の楽器である吹奏楽でどう表現するかという点だ。
篳篥(ひちりき)や篠笛を思わせるオーボエやフルートの歌わせ方、太鼓の地響きを再現するティンパニとバスドラムの音作り。楽譜の音符をなぞるだけでは、安っぽいチープな演奏に成り下がってしまう。「日本人のDNAに刻まれた原風景を呼び起こすような音色作りが必要」と、あるベテラン指揮者は指摘する。この飽くなき探求が、バンド全体の技術レベルを押し上げる結果となっている。