この言葉のルーツは、紀元前2世紀の中国古典文学の傑作『淮南子(えなんじ)』にある。前漢の皇族である劉安が学者たちを集めて編纂させた総合思想書だ。
教科書などでも馴染み深い漢文の原文では、「近塞上之人、有好議道者。馬無故亡而入胡。人皆吊之。其父曰、此何遽不爲福乎」と記されている。要約すると、老人の馬が突然隣国へ逃げて人々が同情したところ、老人は「これが福とならないと誰が言えようか」と意に介さなかった。やがてその馬は名馬を連れて戻り、人々が祝うと老人は「これが禍とならないとも限らない」と戒めた。その後、息子がその名馬から落ちて足を折る災難に見舞われたが、その怪我のおかげで戦争への徴兵を免れ、命を長らえたという展開が続く。