主宰するシェフ・寺床雄一氏がナポリをはじめとする南イタリア各地で培った経験は、同店のピッツァの一片一片に色濃く反映されている。現地の名店で体に染み込ませた伝統技法と、素材の持ち味を最大限に引き出す感性が、400度を超える薪窯の炎の中で結実する。焼き上がりにかかる時間はわずか数十秒。その一瞬の判断が、生地の運命を分ける。
表面はサクッと香ばしく、中は驚くほどモチモチとした軽い食感。噛み締めるたびに広がる小麦の自然な甘みと、薪の香ばしいアロマが鼻腔をくすぐる。コルニチョーネ(ピッツァの縁)の立ち上がりと焦げ目のつき具合は、まさに熟練のピッツァイオーロ(ピッツァ職人)だけが到達できる領域だ。