日本映画が再び世界的な評価を確固たるものとした近年の歩みにおいて、濱口竜介監督の功績を外すことはできない。世界中の映画賞を総なめにした『ドライブ・マイ・カー』の静謐かつ緻密な演出は、スクリーンで鑑賞してこそその真価が立ち現れる。当館での特集上映でも、緻密に計算されたダイアローグと行間の沈黙が客席を包み込み、観客に深い感銘を与えた。
一方、スクリーンに圧倒的なリアリティと情愛をもたらす名優・役所広司の存在感もまた、映画ファンの記憶に深く刻まれている。彼が東京の清掃員役を滋味深く熱演し、ヴィム・ヴェンダース監督と共に生み出した『PERFECT DAYS』は、木漏れ日や風の音といった日常の微細な美しさを浮き彫りにした。こうした傑作群を最高の音響環境で再追体験できる特集プログラムは、映画本来の美しさを改めて教えてくれる。