クラシックの厳格さとは対照的に、若者の初期衝動や行き場のない感情をストレートにぶつけるのが「青春バンド小説」の醍醐味です。
歪んだギターサウンド、身体を突き動かすドラムビート、汗の匂いが立ち込めるライブハウスの空気感。佐藤多佳子氏の『第二音楽室』や、芦沢央氏が描く音楽サスペンスなど、バンドを組むことでしか表現できない不器用な自己主張を描いた作品は、若者からかつてバンドに熱中した大人世代までを熱くさせます。
技術の巧拙を超えて、コード3つで世界を変えようとする疾走感は、読者の心に眠る情熱の火を再び灯してくれるはずです。