ドラマ版の激しい炎上を見て、原作ファンからは「漫画の良さが正しく伝わっていない」と嘆く声も多く上がりました。かわかみじゅんこによる原作漫画とドラマ版には、作品を包む空気感と演出手法に決定的な違いがあります。
原作漫画は、水彩画のような繊細で淡いタッチと独特の浮遊感を持ち、思春期特有のアンニュイな空気や感情の揺らぎをポエティックに描いています。漫画の晶は華奢で儚げな少年として描かれており、過剰にリアルな性描写やサスペンス要素を抑えた「どこか異次元の寓話」として読者に受け入れられていました。
一方のドラマ版は、TBSの演出陣(『アンナチュラル』『最愛』などを手掛けた塚原あゆ子監督ら)の持ち味である緊迫感あふれるカメラワークと重厚な劇伴が前面に押し出されました。登場人物たちの息遣いや周囲の冷淡な視線、地方都市の閉塞感などが極めてリアルに可視化された結果、原作が持っていた「ファンタジーとしての美しさ」が生々しい「生身の男女の不倫・不祥事劇」へと変貌を遂げ、視聴者の防衛本能を刺激したのです。