こうした研究の流れを決定づけたのが、産学官の知見を結集して発足した「ノロウイルス感染抑制検証プロジェクト」の存在だ。同プロジェクトにおいて中心的な役割を果たした武内伸治氏らの研究グループは、ヒト由来の人工ミニ腸管(オルガノイド)を用いた革新的なスクリーニング実験を敢行した。
日本の学術情報プラットフォーム「J-STAGE」に掲載された同プロジェクトの研究報告は、業界関係者に大きな衝撃を与えた。実験では、ラクトフェリンをあらかじめ投与した腸管組織において、ノロウイルスの細胞内複製数が非投与群と比較して有意に減少することが実証されたのだ。武内氏らは、ラクトフェリンが単にウイルスを不活化させるだけでなく、腸管上皮のバリア機能を強化するシグナル伝達系を刺激している可能性も指摘している。