ここ数年、日本映画業界を取り巻く環境は激変した。米アカデミー賞で国際長編映画賞を獲得した濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』は、村上春樹の原作が持つ静謐な文体を緻密な演出で映像化し、世界中の映画批評家を唸らせた。言葉の壁を超えて観客の胸を打つ人間ドラマの普遍性が、世界市場における邦画の立ち位置を根本から塗り替えたのだ。
続いて視覚効果賞を受賞する快挙を成し遂げた山崎貴監督の『ゴジラ-1.0』は、配給を手掛けた東宝の歴史的威信を世界に示し、ハリウッドの巨額予算作品に匹敵する圧倒的VFX技術と胸を熱くするドラマ性で全米を熱狂させた。日本アカデミー賞協会が評価する国内の伝統的な映画製作システムと、海外の先端的なクリエイティビティが見事なまでに交差し、邦画はいま新たな黄金期を迎えている。