整理清掃の現場を取材すると、ゴミ屋敷化する部屋の多くは「生ゴミ」だけで埋め尽くされているわけではありません。むしろ大半を占めているのは、タグの付いたままの洋服、未開封の化粧品サンプル、何かに使えるかもしれない空き箱や紙袋です。
ここに見られるのが、断捨離できない人の心理的背景に巣食う強い不安感と孤独感です。心理学において、物はしばしば「自己の延長」として捉えられます。物が捨てられない原因と心理を紐解くと、過去の楽しかった記憶や、「いつか痩せたら着る」「いつか勉強する」という理想の自分に対する執着が、手放す行為を強い痛みに変えているのです。物を手放すことは、過去の成功体験や未来の可能性を切り捨てるように錯覚してしまいます。
さらに見過ごせないのが、片付けられない人のストレスと現在の過酷な生活サイクルです。慢性的な人手不足やオンライン業務の常態化により、公私の境界線が曖昧になった結果、夜遅くまでスマートフォンを眺め、深夜にネット通販でポチってしまう。届いたダンボールを開封する気力もないまま玄関に積み上げ、その光景を見て自己嫌悪に陥る——この精神的摩耗のループが、部屋の荒廃と比例して住人のメンタルを削り取っていきます。