球場を埋め尽くす歓声の一方で、全米のスポーツジャーナリズムには時に鋭い刃が突きつけられてきた。象徴的だったのが、大手スポーツ専門局ESPNの人気コメンテーターであるスティーブン・A・スミス氏による一連の発言だ。彼が大谷翔平に対して「英語を話さず通訳を介して会見を行う人物が、メジャーリーグの顔であっていいのか」と論評した際、全米中で猛烈な賛否両論が巻き起こった。
アメリカのアナリストや一部のオールドファンにとって、スター選手が自らの言葉で生々しい感情をファンに語りかける姿は、スポーツ文化の根幹をなす要素だ。言葉の壁が生むミステリアスな空気感を「カリスマ性」と捉える好意的なファンがいる一方で、一部のメディア関係者はメディア対応の無難さやパーソナリティの見えにくさに苛立ちを募らせていた。通訳を通した完璧すぎる発言内容が、かえって人間味を感じさせず、排他的な印象を与えてしまうジレンマが生じていたのだ。