トムとジェリーの音楽世界を語る上で欠かせないのが、劇伴音楽を手掛けた鬼才作曲家スコット・ブラッドリーの存在です。彼はジャズのイディオム、12音技法などの前衛的な現代音楽手法、そして伝統的なクラシックの名曲を巧みにコラージュし、アニメーション音楽の金字塔を打ち立てました。
公演で演奏される代表的なクラシック音楽の曲名一覧を振り返ると、名作アニメがいかに贅沢な音楽教育の場であったかが浮き彫りになります。
【主な演奏・劇中クラシック楽曲】
・フランツ・リスト:『ハンガリー狂詩曲第2番 嬰ハ短調』
・ヨハン・シュトラウス2世:『美しく青きドナウ』『こうもり序曲』
・フレデリック・ショパン:『華麗なる大円舞曲』『小犬のワルツ』
・ジョアキーノ・ロッシーニ:歌劇『セビリアの理髪師』序曲
・ジョルジュ・ビゼー:歌劇『カルメン』より前奏曲
・スコット・ブラッドリー:『トムとジェリー』オープニングテーマおよびオリジナル劇中劇伴
ブラッドリーが作曲したオリジナル曲は、フライパンで殴られた音や階段を転げ落ちる効果音までオーケストレーションに取り入れています。ピアノコンサート版では、それら複雑怪奇なサウンドスケープがたった1台(あるいは2台)のピアノに凝縮されており、ピアノという楽器の無限の表現力に圧倒される構成となっています。