足元に広がる深い緑の絨毯。室町幕府の将軍・足利義満が宇治の優れた茶園として指定したとされる「宇治七本園」のうち、現在まで唯一当時の場所に残るのが「奥ノ山」茶園である。明治期に活躍した名匠・堀井長太郎氏から受け継がれたこの地は、単なる農地ではない。宇治茶のアイデンティティそのものだ。
近年注目を集める宇治七本園再生プロジェクトにおいても、この伝説的茶園が果たす役割は極めて大きい。長年の歴史の中で幾度も直面した危機を乗り越え、土壌づくりから茶摘みの手法に至るまで徹底した管理がなされている。宇治茶伝統文化産業の未来を見据え、過去の遺産を保護するにとどまらず、生きた文化として次世代へと手渡す営みが日々続けられているのだ。