殺人事件の犯人が証拠隠滅や身元攪乱を狙って遺体に放火するケースは、過去の重大犯罪の歴史において後を絶ちません。しかし、現代の高度な科学捜査技術は、巧妙に仕組まれた偽装工作をことごとく看破します。
捜査本部が立ち上がると、刑事たちは現場周辺の防犯カメラ映像のリレー捜査、不審車両のNシステム通過履歴、通信キャリアの基地局ログなどを徹底的に洗い出します。同時に、鑑識班は現場に残された微細証拠(ルミノール反応による潜血痕、タイヤ痕、ガソリンや灯油の成分比率)を科学捜査研究所(科捜研)で精密鑑定にかけます。
たとえ犯人が現場を焼き払って痕跡を消し去ろうとしても、燃え残った床材の隙間から被害者の微量な血液反応が検出されたり、遺体の頸骨骨折や頭蓋骨の陥没といった暴力の痕跡が法医学解剖で暴かれたりします。「死体を焼けば完全犯罪になる」という目論見は、法医学と鑑識の緻密な連携によって必ず崩れ去る仕組みが確立されています。