国内における心理学の知見も、この問題に深い洞察を与えている。日本心理学会が発表する各種研究においても、他人の表情から読み取るストレス反応や、集団内での感情の伝染についての議論が盛んに行われている。特に、空気を読むことを重んじる日本の社会環境においては、微細な表情の変化が他者に与える心理的インパクトが他国以上に大きいとされる。
相手の顔に対して抱く不快感の真の正体は、自分自身の内に潜む「予測可能性の喪失」への恐怖である。相手が何を考えているか分からない、あるいは隠された悪意を感じ取ったとき、人は自身の安全が脅かされたと感じる。つまり、相手の表情そのものだけでなく、それを受け止める側の防衛心理が複合的に作用して「イライラ」が膨らんでいくのだ。