人間の皮膚には、目に見えない無数の微生物が共生している。その代表格が「マラセチア菌」と呼ばれる真菌、つまりカビの一種だ。健常な肌であれば害を及ぼすことはほとんどない。ところが、発汗によって皮膚表面の湿度が跳ね上がり、皮脂分泌が活発になると、この真菌は爆発的な勢いで増殖を開始する。
さらに問題となるのが、マラセチア菌が分解した汗や皮脂の代謝産物だ。これが肌への強力な刺激物質と化し、免疫系を刺激して激しい痒みと炎症を引き起こす。汗をかいた瞬間に感じるあのむず痒さは、単なる水分や塩分の刺激だけではなく、菌が放出するタンパク質に対する過剰な生体反応が引き金になっている可能性が高い。