全18巻におよぶ単行本の中には、読者が満場一致で「神回」と挙げるエピソードが幾つも存在します。特に有名なのが、拓也が感情を爆発させてしまう「実の迷子事件(雨の日の公園)」です。言うことを聞かない実に手を焼き、思わず冷たい態度をとってしまった拓也が、行方不明になった実を必死で探し出し、泥だらけで抱き合って号泣するシーンは、兄弟の絆を象徴する屈指の名場面です。
また、母の日にまつわるエピソードも涙なしには読めません。周囲の友達が母親へのプレゼントを用意する中、母のいない現実に直面した拓也がこらえていた寂しさを吐露する場面や、父親の春美が拓也に向かって放った以下の言葉は、多くの読者の心に深く刻まれています。
「拓也、我慢しなくていいんだ。お前はお兄ちゃんだけど、まだ子どもなんだから」
親の愛情、子どもの葛藤、そして兄弟の温もりが詰まったセリフの数々は、大人になってから読み返すことでさらに深い味わいと感動をもたらします。