インターネット上の検索やSNSでは、時折「あずさ2号の作詞は阿久悠氏ではないか」という言説が見られます。昭和を代表する大作詞家・阿久悠氏の存在感があまりに強烈であるため混同されがちですが、これは明確な誤りです。
本作の正真正銘の制作陣は、作詞:竜真知子氏、作曲・編曲:都倉俊一氏のコンビです。
都倉俊一氏の洗練されたドラマチックなメロディラインに対し、当時新進気鋭の作詞家だった竜真知子氏が紡いだ歌詞は、都会での愛に別れを告げ、別の男性からの求婚を受け入れて信濃路へ向かう女性の揺れ動く心情を鮮やかに描き出しました。当時流行していたアンノン族(雑誌『an・an』や『non-no』を片手に旅する若い女性たち)や国鉄の「ディスカバー・ジャパン」キャンペーンが生んだ国内旅行ブームの空気感が見事に投影されています。
当時10代後半だった兄弟デュオ「狩人」(兄・加藤久仁彦氏、弟・加藤高道氏)の圧倒的な声量と完璧なハーモニーは、哀愁漂う大人の別れ歌に驚異的な説得力を与え、同年の日本レコード大賞新人賞をはじめ数々の音楽賞を総なめにしました。