1960年代後半、伝説のバンド「ザ・タイガース」のヴォーカルとして爆発的な支持を集めた沢田研二は、当時の渡辺プロダクションを象徴するスーパースターだった。洗練されたビジュアルと圧倒的な歌唱力で歌謡曲の概念を根底から覆し、昭和ポップス黄金期のフロントランナーとして君臨。1979年の映画『太陽を盗んだ男』で見せた迫真の演技は、彼が単なるアイドルにとどまらない破格の表現者であることを証明した。
一方、田中裕子は文学座出身のたしかな演技力を武器に、NHK連続テレビ小説『おしん』で世界的な大ブレイクを果たす。貧困と混乱の時代を健気に生き抜く主人公の青年期を熱演し、その名は国内のみならずアジアや中東、中南米にまで轟いた。芸能界の頂点に立つシンガーと、若くして国際的評価を確立した大女優。二人の運命が交差したのは、まさに必然だったのかもしれない。