「婚約指輪といえば給料の3ヶ月分」という言説は、1970年代に大手ダイヤモンドサプライヤーであるデ・ビアス社が日本市場向けに展開した一大マーケティングキャンペーンに端を発します。高度経済成長期の消費マインドと合致して広く定着したこのフレーズですが、2026年現在の実態とは大きくかけ離れています。
ブライダル総研などの各種市場調査データを分析すると、現在の婚約指輪の平均購入金額は約38.2万円に落ち着いています。一般的な会社員の月収に換算すると「給料の約1ヶ月〜1.2ヶ月分」が実質的な標準値です。かつてのように無理をして多額のローンを組むスタイルは影を潜め、新生活の準備資金やハネムーン費用とのバランスを冷静に見極める合理的な選択が定着しています。
一方で、近年の国際的なプラチナ相場の上昇や地金価格の変動、ダイヤモンドの輸入コスト増により、ジュエリー全体の店頭価格自体は上昇傾向にあります。予算総額を無理に引き上げるのではなく、ダイヤモンドのグレード配分やデザインの工夫によって、限られた予算内で最大の満足度を引き出す賢い買い方が主流です。