1980年代初頭、過度な包装やブランド志向が社会を覆っていた。その風潮に強烈な一石を投じたのが、当時セゾングループを率いていた堤清二氏である。彼の直感と美学から生まれた「わけあって、安い。」というキャッチコピーは、単なる低価格路線ではなく、消費の本質を突く思想的運動だった。
当時、株式会社西武百貨店のプライベートブランドとしてスタートしたこの試みは、瞬く間に支持を集めた。ノーブランドという名のブランド立ち上げは、既存の流通常識を根本から覆す挑戦だったのだ。1983年に東京・青山にオープンした無印良品1号店は、簡素でありながら洗練された世界観を提示し、若者や文化人の間で爆発的なムードを生み出した。西武百貨店の売り場から始まった小さな芽が、独自の文化基盤を築き始めた瞬間だった。