シリコンハイドロゲル最大の武器は、何と言っても圧倒的な酸素透過性にあります。従来のHEMA素材は「レンズに含まれる水分(含水率)」を介してしか酸素を瞳に届けることができませんでした。そのため、角膜への酸素供給量を増やそうと高含水にすると、今度はレンズ自体が蒸発した水分を補うために涙を過剰に吸い上げてしまい、ドライアイを悪化させるというジレンマを抱えていたのです。
対してシリコーンは、水分を介さずシリコーンポリマーの隙間を酸素分子が直接通り抜けます。そのため、含水率を低く抑えたまま角膜に呼吸をさせることが可能になりました。しかし、数値スペックだけで選ぶと落とし穴に直面します。素材自体の透過性を示す「Dk値」と、レンズの厚みを考慮した実際の供給効率を示す「Dk/L値」の構造的差異を理解しておく必要があります。
特にカラーコンタクトレンズの場合、レンズ内部に着色剤を包み込むサンドイッチ構造などを採用しているため、クリアレンズよりも中心厚が増す傾向があります。厚みが増せばDk/L値は低下するため、シリコンハイドロゲルカラコンを選ぶ際は、単なる「シリコン採用」という表記だけでなく、実測Dk/L値が日中装用の安全基準である24以上(できれば60以上)をクリアしているかを確認することが重要です。