落語家としての名声を不動のものにしていた談春の名が、日本全国のお茶の間へ一気に浸透した契機がドラマ出演でした。とりわけ2015年に放送されたTBS日曜劇場『下町ロケット』における殿村直弘(佃製作所経理部長)役は、彼の役者としての評価を決定づけました。
大企業の圧力に抗い、中小企業の誇りと葛藤を背負って涙を浮かべながら語る殿村の姿は、多くのビジネスパーソンの胸を打ちました。福澤克雄監督が率いる骨太な演出陣に対し、談春は単なる「落語家の客演」ではなく、叩き上げのバイプレイヤーとしての重厚なリアリズムを提示したのです。
その後も『ルーズヴェルト・ゲーム』や映画・大河ドラマなど、数々の映像作品で唯一無二の存在感を放ち続けています。高座で培われた「間の取り方」「声の抑揚」「他者の心理を立体化する力」が、映像の現場でも強烈なリアリティとして結実しています。