東京大学の神経科学研究チームが今年発表した論文は、世界に衝撃を与えた。彼らは、被験者に仮想現実(VR)空間で極限の危機を体験させ、その際の脳活動をリアルタイムでスキャンすることに成功したのだ。結果は驚くべきものだった。
通常、私たちが全力だと思っている筋力は、実際には最大能力の6割程度に過ぎない。脳の前頭前野が「これ以上は危険だ」とブレーキをかけているからだ。しかし、生存の危機を察知した扁桃体が暴走すると、このブレーキは一瞬で消失する。ニューロンの電気信号が津波のように押し寄せ、運動ニューロンを過剰に刺激するのだ。