これほどの絶大な人気を誇りながら、なぜバザールでござーるは姿を消すことになったのでしょうか。ネット上では「作者との権利トラブルがあったのではないか」「人気が急落して打ち切られた」といった根拠のない憶測が飛び交うこともありますが、これらは明確な誤りです。
バザールでござーる終了理由と経緯を解き明かす最大の鍵は、広告主であるNECの事業ポートフォリオの大転換にあります。1990年代、NECの看板事業は個人向けパーソナルコンピュータであり、「街のパソコン屋さん」や量販店で一般消費者に製品を届けるための親しみやすいマスコットが必要不可欠でした。しかし2000年代以降、世界のPC市場は急激な価格競争とコモディティ化の波に呑まれます。
NECは2011年、パソコン事業を中国レノボとの合弁企業(現NECレノボ・ジャパングループ)へと切り離し、NEC本体は官公庁や大企業向けの社会インフラ、生体認証、宇宙事業といったBtoB(法人向けITソリューション)領域へと大きく舵を切りました。企業向けの巨大システムを販売する営業現場において、可愛らしいサルの販促グッズはもはや不要となったのです。そして2026年12月31日、ウェブ黎明期を支えた公式ウェブサイトがAdobe Flashのサポート終了とともに静かに閉鎖され、約30年に及ぶ歴史に正式なピリオドが打たれました。