歌舞伎役者・片岡孝太郎が最初の妻と挙式した1990年代半ば、二人の将来は祝福の光に包まれていた。だが、歌舞伎の世界における「妻の役割」はあまりに過酷だ。毎日の楽屋見舞い、贔屓筋への細やかな挨拶回り、後援会の差配。休む間もなく続く裏方としての重責は、生半可な精神力では務まらない。
二人の関係は長年の別居期間を経て、2013年に離婚という決着を迎えた。表向きの理由は生活リズムや価値観のズレとされたが、真の理由は「名門を背負う重圧」と「役者としての多忙な日常」が積み重なった結果だった。離婚という道を選んだものの、憎しみ合って別れたわけではない。2026年現在も、愛する息子の親として互いに敬意を払い続ける大人の関係性を維持している。